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佐塚崇恭

「値千金」の話

写真がない記事だっていいじゃないか
ウェブログだもの
さつを


高校サッカー中継の準備が佳境に入っていて
先週からは、地元校・東海大山形の取材、
週末からは、対戦校・松山北の取材のため、
愛媛に行く予定になっています。

最近は、SNSでの発信も活発になっていて、
日本テレビの高校サッカーアカウントでも
各校の「全力プレー」ショート動画が
投稿されていますが、
ご覧になりましたでしょうか。

山形県大会決勝の動画では、
試合終了間際の後半39分に
東海大山形が先制したシーンが
投稿されているのですが、

ありがたいことに
私の実況コメントを使っていただき、
「値千金、セットプレーからの先制弾!」
という実況の部分を取って

「#値千金の先制弾」というハッシュタグを
付けてもらっていました。



「値千金(あたいせんきん)」というのは、
「千金(せんきん)」に「値(あたい)」する、
つまり、高い価値があることを指す言葉です。

サッカー実況ではそれほど珍しくない表現で
最近はあまり聞かなくなってしまいましたが、
それでも昔から使われている表現だと思います。

私がまだ新人のころ、アナウンサーになって
2年目か3年目ごろだったと思いますが、
ありがたいことに、そのころから
高校サッカー実況を担当させていただいていて

当時担当していた福井県大会の決勝戦で、
前半、早い時間の先制ゴールに対して
「値千金の先制ゴール」と
実況したことがありました。

決勝戦という大事な舞台で、
全国出場を手繰り寄せる貴重な先制ゴール
という意味で「値千金」を使いましたが、
映像を見てくれた他局の先輩から

「前半の先制ゴールに対して、
“値千金”という表現を使うのは、
少し大げさすぎるのではないか。
値百金ぐらいではないか」
という指摘を受けました。

目まぐるしく状況が変わる試合展開の中で
当時は、言葉を当てはめていくことが
精一杯だったのですが、
(今でも精一杯なのですが……)

より良いスポーツ実況にしていくためには
表現の一つ一つの細部にまで
こだわらなければいけないんだと
身にしみて感じた出来事でした。


あれからおよそ10年。
今度は後半39分の先制弾に対して、
奇しくも当時と同じ表現を
使うことになりました。

今回、ハッシュタグとして取り上げてもらって、
10年前のことを思い出したのでした。

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